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ビル管理士・ビル管とも呼ばれている建築物環境衛生管理技術者は、携われる業務の幅も広く、需要の高い資格です。この資格を保有していることで、年収アップやキャリアアップにもつながります。資格の特徴やメリット、資格取得の難易度などについて、一般的に言われていることも含めて、当サイト運営のザイマックスグループがまとめております。
建築物環境衛生管理技術者は、通称、ビル管理士(ビル管)と呼ばれている資格です。ビル管は、法律で定められた一定規模の物件1棟につき保有者1名選任をしなければいけない資格です。
ビル管の資格を取得するためには、法律で定められた特定の建築物における設備管理の実務経験を2年以上積んでいなければ、受験資格を得ることができません。
ビル管理士になるための方法としては、まず、国家試験を受験するという方法があります。しかし、ビル管理士の試験は出題範囲が膨大で、午前中・午後それぞれ3時間をかけて行われる上に、近年の合格率は約21%と、かなり厳しい試験であるといわれています。
この試験に合格するという以外にも、ビル管理士になる方法があります。それは、厚生労働省指定の実施団体が運用する「建築物環境衛生管理技術者講習会」を受講するというものです。この講習会を受講して全課程を修了し、修了試験に合格することで、ビル管理士の資格を取得することができます。ただし、受講資格が厳しく決められていて、総受講時間は101時間(連続して3週間弱拘束されます)と長いものになっています。
資格を取得するためには難易度の高い試験をクリアするか、長時間の講習を受けなければならないビル管理士ですが、この資格を得ることで、資格手当がついたり、できる仕事の幅が広がって年収がアップしたり、転職に有利になるなどのメリットも得られます。
建築物環境衛生管理技術者の主な業務のひとつは、商業施設やビルなど建物の衛生環境について、適切に維持管理されているかを監督することです。長期、短期に分けて計画を立て、水質検査や空調、電気設備等を定期的に点検し、破損や故障などがないか状況確認を実施します。異常が見つかれば所有者に報告を行い、対応策の検討や改善案を作成。場合によっては協力会社に連絡し、修理や補修を依頼します。
資格の名の通り、施設の衛生環境を守ることも建築物環境衛生管理技術者の仕事です。
日々の清掃や廃棄物処理、害虫駆除を協力会社へ依頼し、常に建物内の衛生環境が整っている状況を保ちます。
基本的には清掃や駆除作業を直接行うことはありません。あくまでも協力会社と連携をとって、建物の課題や問題を解決するよう導くことが仕事です。
常に必要とされる仕事のため、時期を問わず一定の求人があります。また年齢層が幅広いことも建築物環境衛生管理技術者の求人の特徴です。年齢は関係なくチャンスがあり、活躍できる仕事だと言えるでしょう。
令和元年度の建築物環境衛生管理技術者の合格者数は1,245人。受験者数は10,146人で、合格率は12.3%でした。これまで建築物環境衛生管理技術者の合格率は20%前後のことが多く、例年より低い数値になっています。
ただし、開催する年によって合格率に幅があるのもこの資格の特徴であり、合格者が30%を超えている年もあります。一度不合格になってしまってもあきらめずに勉強を続け、二度、三度とトライすれば合格できるチャンスはあります。
大学・短大・高等専門学校で指定の課程を卒業した方、それ以外の学歴で指定された実務経験を持ち講習を受けた方は、試験の難易度が一般試験よりも高くなっているので注意が必要です。
参考:厚生労働省「第49回建築物環境衛生管理技術者試験の合格発表」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07654.html)
出題形式
出題数180問
五肢択一のマークシート方式
合格基準
例年、7科目の合計で65%以上の正解率、かつ、各科目40%以上の正解率が合格条件です。
筆記試験だけで実技はありません。また、科目合格制度もありません。
受験資格
厚生労働省令で定められた建築物の用途部分において、同省令の定める実務に2年以上勤務した者。
建築物の用途部分
興行場(映画館、劇場等)百貨店、集会場(公民館、結婚式場、市民ホール)、図書館、博物館、美術館、遊技場(ボーリング場等) 、店舗又は事務所 、学校(研修所を含む) 、旅館、ホテル などの特定建物
必要な実務内容
空気調和設備管理、給水・給湯設備管理、排水設備管理、ボイラー設備管理、電気設備管理、清掃、廃棄物処理、ねずみ、昆虫等の防除
※「設備管理」とは、設備についての運転、保守、環境測定及び評価等の業務をいい、修理専業、アフターサービスなどは該当しない。
試験科目
午前(試験時間3時間)
建築物衛生行政概論 (20問)
建築物の環境衛生 (25問)
空気環境の調整 (45問)
午後(試験時間3時間)
建築物の構造概論 (15問)
給水及び排水の管理 (35問)
清掃 (25問)
ねずみ、昆虫等の防除 (15問)
試験のスケジュール
試験実施:10月上旬
申込期間
5月上旬~6月下旬
合格発表
11月上旬
試験会場
東京都、大阪市、名古屋市、福岡市、札幌市、仙台市
建築物環境衛生管理技術者の資格は、試験だけでなく、厚生労働大臣登録講習会を修了して取得する方法もあります。
講習会の概要は以下のとおりです。
受講資格は学歴、免許、実務経験の年数によって条件が変わります。高校や大学で工学・農学などの指定学科を卒業し、さらに建物管理の実務経験を持つ人、また技術士の機械、電気電子、上下水道など特定の登録を受けた人などが受講可能です。講習を受けられる条件についての詳細については、「公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター」の公式HPで確認できます。
参考:公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター(https://jahmec.or.jp/koushu/kanrigijutu.html)
講習会は全7科目、約3週間で101時間の日程で行われます。募集人員は各講習ごとに100名です。受付期間内か否かに関係なく、募集人員達した時点で受け付けは終了となります。(募集人員に達しない場合、受付期間は延長されます)講習会を修了した者には「修了証書」が交付されます。続いて本人の申請により、厚生労働大臣から「建築物環境衛生管理技術者免状」も交付されます。受講料は108,800(非課税、テキスト等教材含む、受講申込時には不要)です。
参照元:公益財団法人日本衛生管理教育センター(https://www.jahmec.or.jp/kokka/)
講習を終えた後、最後に修了試験が行われます。講習科目に対する理解度を考査する目的で行われます。合格基準は概ね、講習科目7科目の6割程度の正解です。修了試験の難易度は決して高いとはいえませんが、一方で、講習の範囲からではない問題が出る可能性もあるので、油断することなく事前の対策を行っておくと良いしょう。
国家試験又は講習会の修了試験に合格後、厚生労働大臣へ免状交付の申請を行うことにより、建築物環境衛生管理技術の免状を取得できます。申請方法は、下記の必要書類を厚生労働省の「医薬・生活衛生局生活衛生課」宛てに送付することです。必要書類は以下のとおりです。
ア.免状交付申請書
イ.収入印紙 2,300円分(消印してはならない)
ウ.下記のいずれか
(ア)戸籍謄本
(イ)戸籍抄本
(ウ)住民票の写し(本籍の記載があるもの)
(エ)外国人登録証明書の写し
エ.講習会修了者の場合は、下記の両方
(ア)講習会修了証
(イ)受講資格証明書
オ.免状返信用封筒:角2号(A4版)
※封筒に返信先を記入し、460円分(簡易書留料)の切手を貼ってください。
カ.氏名、連絡先の住所、電話番号を書いたメモ用紙
免状の紛失や破損、汚損された場合、「氏名」や「本籍地」が変更するなど免状の書き換えが必要な場合は、免状の書き換え及び再交付を申請することができます。
参照元:厚生労働省「建築物環境衛生管理技術者について」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei11/)
建築物環境衛生管理技術者は、オフィスビルや学校、映画館、劇場、ホテル、デパート、図書館、博物館、商業施設といった一定規模の物件において、1棟につき1名の選任が必要で、その物件における建築物の維持管理計画の立案、計画に対する実行と指揮監督、建築物の測定、検査結果の評価と問題点に対する改善案の作成を行うことができます。
そのため、建築物環境衛生管理技術者の資格保有者は設備管理会社にて求められています。
建築物環境衛生管理技術者の年収のボリュームゾーンは、大体300~400万円となっています。平均年収は450万円程で、年収上限値は600万円程度とされています。収入は勤務年数や地域によって差があり、求人の中には年収751万円~800万円を提示しているところもあります。他の設備管理関連の資格との比較では、建築物環境衛生管理技術者の年収相場は電気主任技術者(電験三種)とエネルギー管理士の中間に位置している場合が多いようです。
建築物衛生法の規定により、面積3000㎡以上(学校は8000㎡以上)の特定建築物では、必ず建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)を選任しなければなりません。特定建築物は国内に43,000棟以上(2021年3月時点)あると言われており、建築物環境衛生管理技術者の需要はなくならないと言えます。年齢を問わず働ける職種ということもあり、取得しておくことで選べる仕事の範囲を広げることができます。
建築物環境衛生管理技術者の資格に加え、エネルギー管理士や電気主任技術者、という3種の神器と呼ばれる資格を取得すると、さらにできる仕事の範囲が広くなり、年収アップやキャリアアップにつながります。
建築物環境衛生管理技術者の資格を持っているのであれば、オフィスやホテル、商業施設など、多様な施設を扱っている会社のほうが、さまざまな建物に携わることができ、業務の幅が広がります。
建築物環境衛生管理技術者の資格を取得するためには、実務経験が必要になります。未経験者でも、積極的に採用している会社もあるので、未経験者の場合、こうした会社で経験を積んで、建築物環境衛生管理技術者の資格を取るという方法もあります。
株式会社ザイマックス
東京都港区虎ノ門2丁目10番1号
〇設立(沿革)
*会社の経営陣が、外部機関等からの金融支援を受けるなどにより、自ら自社の株式や一事業部門を買収し、会社から独立する手法。
〇事業展開
設備管理を含む不動産マネジメントを基盤事業に据え、現在全国で約1000棟 の管理実績を持ち、近年も事業規模を拡大し成長し続けています。
マネジメントの対象となる不動産は、オフィスビル、商業施設、ホテル、物流施設など多岐にわたっています。
また、「不動産」と「金融」の融合を掲げて、不動産以外の分野のノウハウや経験を取り入れることで、投資家や企業に対して質の高い不動産戦略を提供しております。
このように、現場から経営代行・資産運用までの不動産経営の様々な要件を一元管理し、総合的な不動産サービスをワンストップで提供できる企業グループです。
〇業務体制
若手からベテランまで年齢不問で採用。また未経験でも業務にキャッチアップするため技能研修センターを設けるなど充実した教育体制を配備。加えて、本社から各現場へサポートも整備しており、長く働いてもらうために労働環境の整備にも力を入れています。
資格取得も奨励しており設備管理のスペシャリストが多数在籍。経験者と未経験者が一緒に仕事に取り組むことで、ベテランから若手に業務ノウハウを引き継ぎ、将来に向けた戦略的な経営を行っています。
〇広域かつ多種多様な管理物件
全国の様々な物件の設備管理を受託しており、各エリアに一定数の受託物件があるため、居住地などを考慮した配属も実現できます。また社員が様々な物件の設備管理に携われることで仕事の幅も広がり、さまざまな知識や技術、経験を身につけることができ、キャリアアップにもつながります。
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